例えば、エリアマネージャーや店長に「あなたの仕事は何ですか?」と質問しても、的確に答えが返ってくることは稀です。
答えが返ってこないという事は、自分自身の仕事の全容が理解・整理できておらず、当然それぞれの優先順位を考えたり、解決の為の時間活用もできていないということです。
人材育成の第一歩として『要件定義書』をつくり、「何を」「どのレベルで」やらなければならないか、エリアマネージャー・店長に理解させることからスタートします。
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改善事例 1
A社 外食チェーン
社員50名 10店舗 年商5億円
今後の多店舗展開を見込み、全ての役職者の役割定義を行うとともに、
仕事のプロセスを重点評価して一時金制度を改定!
店長の要件定義イメージ
分類 | 要件 |
---|---|
役割責任 | ・業績向上と人材育成の最終責任者 ・経営陣から店舗経営者としての信頼がある |
顧客満足 | ・店舗の接客品質を… ・近隣との良好な関係… ・クレーム・トラブルについて… |
メニュー | ・顧客満足、コストダウンにつながるよう… ・店舗オリジナルメニューの… ・サイドメニューの拡販… |
店舗施設 | ・施設・機器の予防管理を行い… ・常にクリンネスを… |
販売促進 | ・イベントスケジュールを把握し… ・販促POPについて… ・広告の費用対効果を… |
競合対策 | ・競合店の強み・弱みを十分に理解し… |
業績管理 | ・売上・粗利計画について… ・計画の進捗管理を行い、必要に応じた… ・商圏内の世帯数・人口… |
要員管理 | ・適材適所を見極めた配置を行い… ・年間での人時生産性(1人1時間当り粗利)を十分に検討し… ・アルバイトの採用について、先を見越した… |
人材育成、リーダーシップ | ・リーダーシップを発揮し、組織一丸… ・次期店長・副店長の育成について… ・面談を実施するなど、コミュニケーション… ・部下をよく理解し、人事評価… ・経営理念を理解し… |
業務管理 | ・コンプライアンス等、危機管理… ・金銭管理における… ・本部と密に報連相を行い… |
知識、情報 | ・マネジメント全般の… ・業界の環境・法改正について最新の… ・「衛生管理者」資格を保有している |
飲食業の人件費は、売上の30%を占めます(大きく異なる業種もあります)。せっかく大きな費用を使うのであれば、社員のモチベーションがアップするように人件費を活用すべきです。下記は、とある企業の賃金制度改定事例です。貴社の人件費は、本当に有効活用されているでしょうか?
賃金制度の改定前
支給名目 | 評価方法 | 評価項目 | 年間コスト |
---|---|---|---|
店舗の売上 インセンティブ (年4回) |
売上実績 | 売上・粗利 (予算比) |
500万円 |
個人の賞与 (年2回) |
人事評価 | 業績(70点)、 職務プロセス(30点)の 合計100点 |
2500万円 |
問題点
売上インセンティブを獲得できる拠点は固定化してしまい、獲得する店舗は「当たり前」、獲得できない店舗は「あきらめ」になっていた
売上・利益は、インセンティブ・賞与で二重に評価され、たまたま就任した店舗の違いにより年収ベースで大きな偏りが出ていた
結果、年間3,000万円もの人件費が
モチベーション向上に繋がっていない
賃金制度の改定後
支給名目 | 評価方法 | 評価項目 | 年間コスト |
---|---|---|---|
店舗の売上 インセンティブ (年3回) |
売上実績 | 売上・粗利 (予算比) |
400万円 |
個人の賞与 (年2回) |
人事評価 | 個人役割・能力のみ (売上・粗利を加味しない) |
2.300万円 | 店舗のキャンペーン 補償(年3回) |
キャンペーンの内容による | 「重点販売メニュー」拡販 「会員カード」新規入会 「店舗利益」改善 等 |
300万円 |
具体的な改善
社内アンケートの結果、『 売上インセンティブ 』 は評判がよく、制度自体は維持するも年間コストを4/5に引き下げた
『賞与』 は個人の能力評価を中心にした。替わりに、年3ヶ月を想定していた賞与総額については、年2.5ヶ月に引き下げた
新たに 『キャンペーン報償』 制度を設け、業績や職務プロセス以外の貢献指標を設定し、優秀店舗に対する褒章制度を設けた
年3回のキャンペーン企画を立案する必要があるため、本部の企画部門についても活性化するという副産物を得ることができた